なんで隠すの？タンチョウ夫婦！　2010.2.15　島根県松江市

　2009年も暮れようとしていた１２月のある日、新聞に一つの記事が載った。「山陰にタンチョウつがい飛来！」タンチョウは北海道に周年生息する個体群とは別に、中国・ロシアに渡りをする別の個体群がいるらしい。朝鮮半島３８度腺ではマナヅルと一緒にタンチョウが観察されている。西日本に渡ってくる可能性はあるように思う。しかし中国では放し飼いにしているタンチョウがいるようで、これが渡りをしているらしい。まあいずれにせよ、西日本でタンチョウを見るのは大変貴重である。早速見に行きたいと思った。場所は松江市郊外としか記述されていないが、だいたいの見当はついている。まぁ行けば何とか見つかるだろうと思った。しかしこれが大変だった。なんと思いきり情報制限されていたのだ。確かにテレビに出演した某関係者が「そっと見守って欲しい。」と言っていたが、ここまで秘密にされているとは！何でもこの方は「野鳥は一部の人でこっそり見るのがいい。」というお考えのようで（驚）、野鳥の会って多くの人に野鳥を楽しんでもらうのが信条ではなかったっけ？まあとにかくおおかたの当てをつけて突撃してみたのだが、思った場所には姿が見えず、地図を片手にいくつかの候補地をめぐるも空振りに終わった。仕方なく他の鳥を観察して家路についた。それからまもなく、まだいるとのうわさを聞きつけた。いろいろと探ってみると何と！私が最後に通過した場所の橋を隔てた水田にいることがわかった。おしかった！最後に力尽きてスルーした場所だった！ということで再度突撃。今度は難なく発見できた。このタンチョウつがいはあまり警戒することなく餌をとっていた。現地には３台の車がいたが、この人たちはどうやって情報を得たのだろう？でも結局知られてしまうのだから、現地でのマナーを啓発するのが筋なのではないかと思う。少なくとも私が行った日には他の方もタンチョウを脅かすことなくマナーを守って撮影していた。人それぞれ考え方があると思うのだが、今回のこのいきさつはどうもしっくりとこない。魅力あふれる探鳥地の山陰がもっと開かれた場所であった欲しいと個人的には思うのであった。なおこのタンチョウはこの１週間後に飛びたち隠岐に立ち寄って大陸に帰ったそうである。来シーズンは子供を連れて帰ってきて欲しい。その時は是非多くの人に見てもらったらいいと思う。