ヤドリギツグミとオオカラモズをゲットし、激落ちだった鳥運が徐々に戻りつつあった2020年の３月のことである。隣県でマキバタヒバリとベニバトが出ているという情報が入った。マキバタヒバリはレンコンが山積みされている所に出現するとのことだったが、車を停めるスペースが狭く、夜明け前に陣取らないといけないとのことであった。
一度目の出撃の日、夜明け前に到着すると一台すでに二番目と三番目の間に停まっていた。一番目のレンコンの山と聞いていたので、一番目の所に駐車したつもりが、順番を間違えて四番目の所に駐車してしまった（失敗その１）。
このレンコンの山を何時間見つめていたのだろう・・・・。
ほどなく鳥友Ｋさんと合流し、しばらく粘るが姿が見えない。次第に車が集まってきた。狭い農道なのでかなり窮屈な感じだ。我々をあざ笑うかのようにオオジュリンとただのタヒバリがすぐ近くをうろうろする。退屈なので何枚か写してやった。笑えるほどシャープな写りだった。すると、前の車で興奮した感じのシャッター音が！しかし私たちの位置からは見えない。どうやら三番目に出ていたようだ。間の車が縦に停まっているためじゃまでよく見えない。シャッター音が落ち着いたころ、車から降りて前の方に話しかけてみる。「写せましたか？」「すぐ近くだったよ。」見せていただいたモニターには紛れもないマキバタヒバリの姿が！Ｋさんと二人でがっくりする。しかしまだチャンスはある。
オオジュリン近すぎやん！
タヒバリも愛想良し。一部の方のブログではマキバタヒバリとしてこの個体がアップされていた。
昼過ぎてから車も少し減り、隙間ができたので車を前へ移動させる。Ｋさんも私の前へつける。しかし出ないなぁ・・・そこへ知人から電話（失敗その２）。話している最中にＫさんが横の斜面に向かって何かを見ている。レンズを向けたので私も電話しながら双眼鏡で見たのだがよくわからなかった。後でモニターを見せてもらうとマキバタヒバリ！川向こうの斜面にいたようだ。電話を切ってまじめに見ればよかった・・・・。 結局その後は姿を見せずじまい。うちひしがれて帰路についた。
二度目の出撃の日、今度は知人のＳさんから詳細な地図をいただいた。車を止める位置が明確に示されている。二番目と三番目の間だ。これならよく出る両方が見られるのでバッチリだ。Ｓさんはその位置に車を停めて、最短距離を切るぐらい近くで撮影したそうだ。おまけにそこからすぐ近くで何とベニバトが出ているという。マキバタヒバリを１時間足らずでゲットしてベニバトに移動すると、すぐ前の木にとまっていたという。何というツキの良さ！昼前には帰宅したそうだ。
今回も夜明け前にマキバタヒバリのところへ到着、さすがにもうこちらには人が来ていないだろうと思ったのだが、またしても二番目と三番目の間に車が縦に停まっていた。滋賀ナンバーの車だった。何とこの車の方は、私に詳細な地図を送ってくださったＳさんの知人だった。彼にも同じように情報が行っていたのだがまさか同じ日に来られるとは（失敗その３）！
仕方なく四番目に車を縦に停める。私の所から二番目は見えない。ほどなくして滋賀の方が二番目の方に
向かってシャッターを切り始めた。こちらからは見えないぞ！いらいらがつのる。いやいや三番目にも来るはずだ。我慢しよう・・・。とその時、緑味の強いタヒバリが三番目の山に！やった！やっと捉えたぞ。シャッターを必死にきる。しかし２０枚ほど写したところで二枚目の方へ行ってしまった。撮影はできたが十分満足とは言えなかった。しかたないので切り上げて本命のベニバトの方へ移動する。
この程度しか撮れなかった・・・。
爪の長いのはよくわかった。
ベニバトのポイントは車で数分のごく近いところだった。到着すると皆さんすでに殺気だった捜索モード。朝一で姿を見た人がいるらしい。現地で知人のＭさんにお会いした。Ｍさんは私が２日前にベニバト情報を教えてあげた人だ。翌日は雨予報だったので私は一日遅らせて来たのだが（失敗その４）何と彼は昨日のうちに到着してバッチリ撮影していた。ううっ昨日来れば良かった・・・・。
この日はなかなか姿を見せず、皆さんうろうろ探す人や、よくとまる木の前でずっと粘る人やさまざまであった。私はしばらく木の前で粘ったのだが、どうしても我慢できず、うろうろしてしまった（失敗その５）。しかし姿がない・・・。日もかなり傾いてきた頃、元の場所に戻ってみると皆さんがカメラをもって動き回っていた！えっまさか？出たの・・・？
「さっきそこの木にとまったよ。」
「君いったいどこに行ってたの？」
「うろうろするからだめなんだよ。」
「ツキのない人はとことんツキがないねぇ。」
私に容赦なく浴びせられるきつい言葉・・・うちひしがれた私は西の空に沈む夕日を呆然と見つめていた・・・・。次第に車も少なくなり、カメラを片づけ始めた私の目に、一羽の鳥が柳の木にとまるのが見えた。まさかねぇと思いながら双眼鏡をのぞくと、もろ逆光で色が全くわからないシルエットの後ろ首に線が・・・「おおっ！出たぁ！」あわててカメラをもう一度取り出す。そして柳の木を見ると・・・いない・・・どこへ行ったんだぁ！・・・・とっぷりと暮れた人のいない公園に、私の叫び声がむなしく響くのであった・・・・CHAPTER2へ続く・・・・。